初心者や女性でも取り組みやすく、大胸筋下部に効果の高い腕立て伏せであるインクラインプシュアップの正しいやり方を解説するとともに、大胸筋下部に効果のある他の腕立て伏せ・自重トレーニングのバリエーションもあわせてご紹介します。
■大胸筋下部の作用
●大胸筋の構造・部位詳細
大胸筋のなかでも最大の体積がある下部は、図のように斜め縦方向に筋繊維が走っており、斜め下に腕を押し出す動作で最大収縮します。
ですので、腕を斜め下に押し出す動作であるインクラインプッシュアップが大胸筋下部に効果的なのです。
また、大胸筋下部は最大の体積があるため鍛えることにより、男性ならたくましい胸まわりに、女性ならバストアップに効果的です。
■インクラインプッシュアップのやり方
こちらがインクラインプッシュアップの模範的な動画で、ポイントは腰を突きだしたり背中を丸めないことです。
腰を突きだしたり背中を丸めたりすると、せっかくの斜め下に腕を押し出す軌道が通常の腕立て伏せとかわらなくなりますので、どちらかと言えば、少しお腹を突きだすくらいのイメージで行うとよいでしょう。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①肩幅より少し広くとって台に手を置き、肩甲骨をしっかりと寄せ、背中を真っ直ぐにして構える
②肩甲骨を寄せたまま、背すじも真っ直ぐに保って身体を下ろす
③身体を下ろしたら、反動を使わずに肘を伸ばして身体を押し上げる
④身体を押し上げたら、やや顎を引いて大胸筋をしっかりと収縮させる
※動作中は、お腹を突き出したり、腰を曲げたりしないように注意してください。
なお、女性など強度的に動作ができない方は、こちらの動画のように倒れる角度を浅くして行ってください。
■インクラインプッシュアップの目的別の重量負荷設定
筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b
約10秒前後の短い時間に爆発的・瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより強く筋肥大します。10回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a
10~60秒ほどのやや長時間で瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングによりやや筋肥大します。15回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1
60秒以上数分・数時間の持続的・持久的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより筋肥大せずに筋密度が上がります。20回以上の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
つまり、筋肥大バルクアップ目的なら①、細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップ目的なら②、減量引き締めダイエット目的なら③、の負荷回数設定で筋トレを行っていきます。ただし、腹筋郡・前腕筋郡・下腿三頭筋など日常での使用頻度が高い部位は、基本的に20回以上高反復回数で鍛えます。
■自重トレーニングにおすすめの器具類
●プッシュアップバーと懸垂器具
腕立て伏せ系のトレーニングをするのに、ぜひとも用意したいのがプッシュアップバーです。手首を真っ直ぐに保てるので関節を保護できるだけでなく、動作の可動域自体が広がるため、トレーニングの効果が倍増します。
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【プッシュアップバー】種類・メーカー別の効果と使い方|おすすめもご紹介
本格的に自宅筋トレを始めるならば、まず揃えたいのが懸垂ラック・装置です。懸垂だけでなく腕立て伏せ・ディップ・腹筋など、一通りの自重トレーニングができるチンニングラックから簡易的にドア部分に取り付けるものまで、さまざまなタイプがあります。
▼おすすめの自宅懸垂器具
【おすすめ自宅背筋トレーニング器具】各メーカーの懸垂ラックや懸垂装置紹介
■自重トレーニングにおすすめの筋トレグッズ
●手首保護にリストラップを
押す筋トレではどうしても手首に強い負担がかかってしまいますので、リストラップはぜひとも使用したいアイテムです。そして、入手するのであれば、普及品とは違い屈強なサポート力のあるリストラップを強くおすすめします。
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【おすすめのリストラップ】初心者むけに使いやすい長さやリストストラップとの違いも解説
●握力補助にパワーグリップを
上半身の引く筋トレで初心者の方に多く見られるのが「先に握力がなくなって追い込めない」というケースです。筋トレは101%で行ってはじめて成果がでます。パワーグリップを使用して引くトレーニングの効率を上げることをおすすめします。
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■自重トレーニングの基礎知識
●自重トレーニングの長所と短所
自重トレーニングは器具が必要ないため、いつでもどこでも手軽に取り組めるのがメリットです。
一方、自重トレーニングには複数の筋肉・関節を同時に動かす複合関節運動(コンパウンド種目)しかなく、個別の筋肉を単関節運動(アイソレーション種目)で集中的に鍛えるのが難しいというデメリットがあります。
ですので、自重トレーニングの後に仕上げとしてチューブトレーニングやダンベルトレーニングを行うのが理想と言えます。
●自重トレーニングの負荷の上げ方
自重トレーニングの負荷の上げ方には、主に以下の方法があります。
①動作をゆっくり行う
②重りを身体につける
③一番負荷のかかる位置(スティッキングポイント)で動作を一度静止する
なお、他の自重トレーニングメニューについては、下記の種目別解説記事をご参照ください。