二の腕裏側の筋肉である上腕三頭筋に対して効果的な、手幅を狭くした腕立て伏せのバリエーションであるナロープッシュアップのやり方とバリエーションについて動画をまじえて解説します。
■ナロープッシュアップが効果のある筋肉部位
●上腕三頭筋に効果がある
ナロープッシュアップは、二の腕裏側の筋肉である上腕三頭筋に効果があります。上腕三頭筋には外側に位置する短頭と内側に位置する長頭と呼ばれる二つの部位がありますが、本種目は特に短頭に対して効果的なトレーニング方法です。このため、女性の二の腕引き締めエクササイズとしてとても有効です。
■ムキムキにならず綺麗にやせる負荷設定
●15回~20回の反復で限界がくる負荷回数で行う
筋肉を構成する筋繊維には、持久筋(筋繊維TYPE1)・瞬発筋タイプ2a(筋繊維TYPE2a)・瞬発筋タイプ2b(筋繊維TYPE2b)があり、それぞれの特徴と鍛え方は以下の通りです。
○持久筋(筋繊維TYPE1):60秒以上の持続的な運動に使われる筋繊維で、鍛えても筋肥大せずに筋密度が向上します。酸素消費遅筋(SO筋)とも呼ばれ、20回以上の反復動作で限界がくる重量・回数設定でトレーニングします。
○瞬発筋タイプ2a(筋繊維TYPE2a):30~60秒前後の運動に使われる筋繊維で、鍛えるとやや筋肥大します。酸素消費速筋(FO筋)とも呼ばれ、15回前後の反復動作で限界がくる重量・回数設定でトレーニングします。
○瞬発筋タイプ2b(筋繊維TYPE2b):30秒以内の瞬発的な運動に使われる筋繊維で、鍛えるとよく筋肥大します。グリコーゲン消費速筋とも呼ばれ、10回前後の反復動作で限界がくる重量・回数設定でトレーニングします。
このことから、女性の引き締めトレーニングは、20回以上の反復動作で限界がくるような軽めの重量設定で行えばよく、そうすればムキムキに筋肉がついてしまうことなく綺麗に引き締まります。
なお、バストアップやヒッピアップなど、部位的にボリュームを上げたい箇所は15回前後の反復ができる中負荷トレーニングを行います。
■ナロープッシュアップのやり方とポイント
●親指と人差し指で菱形を作って行う
こちらが、理想的なナローグリッププッシュアップのやり方の動画ですが、ナロープッシュアップを行うときは、親指と人差し指で菱形を作って行うことが大切なポイントです。これは、通常の腕立て伏せのように手と手を並行に構えたまま手幅を狭く構えると、手首に対して斜め方向のねじれ負荷がかかってしまうので、それを避け手首の関節にかかる負担を軽くするためです。
手で菱形を作って行うことから、海外ではダイヤモンドプッシュアップとも呼ばれています。
背すじを真っ直ぐに維持したまま身体を下ろし、息を吐きながら身体を押し上げてください。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①親指と人差し指で菱形を作って手を置き、肩甲骨をしっかりと寄せ、背すじを真っ直ぐにして構える
②肩甲骨を寄せたまま、背すじも真っ直ぐに保って身体を下ろしていく
③身体を下ろしたら、反動を使わずに肘を伸ばして身体を押し上げる
④身体を押し上げたら、上腕三頭筋を完全に収縮させる
⑤動作中は、お腹を突き出したり、腰を曲げたりしないように注意する
なお、二の腕裏側の内側(上腕三頭筋長頭)に対して負荷をかけたい場合は、この動画のように手を並行に狭く構えたバリエーションが有効ですが、手首への負担を考えると、プッシュアップバーの使用をおすすめします。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①肩幅程度の手幅で床に手をつき、肩甲骨をしっかりと寄せ、背すじを真っ直ぐにして構える
②肩甲骨を寄せたまま、背すじも真っ直ぐに保って身体を下ろしていく
③身体を下ろしたら、反動を使わずに肘を伸ばして身体を押し上げる
④身体を押し上げたら、上腕三頭筋を完全に収縮させる
⑤動作中は、お腹を突き出したり、腰を曲げたりしないように注意する
腕立て伏せ系のトレーニングをするのに、ぜひとも用意したいのがプッシュアップバーです。手首を真っ直ぐに保てるので関節を保護できるだけでなく、動作の可動域自体が広がるため、トレーニングの効果が倍増します。
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■腕立て伏せができない方は
●膝つきダイヤモンド腕立て伏せから始める
腕立て伏せ系のトレーニングは多くの女性にとって負荷の高いトレーニングであり、引き締めトレーニングに最適な20回の反復を行うのは簡単ではありません。
そのような場合におすすめなのが、この画像のように膝をついて行う「膝つき腕立て伏せ」で、手で菱形を作って行うと二の腕裏側に効果的な「膝つきダイヤモンド腕立て伏せ」と呼ばれるバリエーションになります。
■女性におすすめの筋トレグッズ
下記の記事では、女性におすすめの筋トレグッズを、実際に筆者の運営するジムで使用しているものを中心に、自宅用・ジム用それぞれに厳選してご紹介しています。トレーニングパフォーマンスを高めてダイエット効果を効率的に得るためには、道具選びもとても大切な要素です。是非、ご活用ください。
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■自重トレーニングの基礎知識
●自重トレーニングの長所と短所
自重トレーニングは器具が必要ないため、いつでもどこでも手軽に取り組めるのがメリットです。
一方、自重トレーニングには複数の筋肉・関節を同時に動かす複合関節運動(コンパウンド種目)しかなく、個別の筋肉を単関節運動(アイソレーション種目)で集中的に鍛えるのが難しいというデメリットがあります。
ですので、自重トレーニングの後に仕上げとしてチューブトレーニングやダンベルトレーニングを行うのが理想と言えます。
●自重トレーニングの負荷の上げ方
自重トレーニングの負荷の上げ方には、主に以下の方法があります。
①動作をゆっくり行う
②重りを身体につける
③一番負荷のかかる位置(スティッキングポイント)で動作を一度静止する
なお、他の自重トレーニングメニューについては、下記の種目別解説記事をご参照ください。