ダンベルテイトプレスは上腕三頭筋のダンベルトレーニングとして海外ではメジャーな種目ですが、日本国内ではあまり盛んではありません。筋肉の発達停滞期に導入すると効果的な種目ですので、ぜひチャレンジしてみてください。
■ダンベルテイトプレスが効果的な筋肉部位
ダンベルテイトプレスは、上腕三頭筋全体に効果的なトレーニングですが、やや上腕三頭筋短頭(内側頭・外側頭)に強く負荷がかかります。また、肘を閉じ気味にすると、負荷が長頭よりに移行します。
●上腕三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭|外側頭|内側頭
起始:肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面
停止:尺骨肘頭
■ダンベルテイトプレスのやり方
ダンベルテイトプレスの動作はいたって簡単で、動画のように肘を大きく開いて内側にダンベルを下ろしてから上げていきます。
一つ注意していただきたいのは肘の開きすぎです。肘を開きすぎ、肩のラインよりも頭側に肘がくると、肩関節に強い負荷がくわわり怪我のリスクもありますので、十分注意してください。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①ベンチに仰向けになり、ダンベルを胸の上でグリップして構える
②肘を曲げ、内側に向けて胸の上にダンベルを下ろす
③ダンベルを下ろしたら、肩関節を動かさないように注意してダンベルを元の位置まで押し上げる
■ダンベルテイトプレスおすすめのスーパーセット
なお、ダンベルテイトプレスと拮抗的かつ特殊な動作をする、ダンベルサイドカールとのスーパーセットは、通常の上腕二頭筋+上腕三頭筋のスーパーセット以上にパンプ感が得られ、筋トレ停滞期におすすめの方法です。
■ダンベルテイトプレスの目的別の重量負荷設定
筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b
約10秒前後の短い時間に爆発的・瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより強く筋肥大します。10回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a
10~60秒ほどのやや長時間で瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングによりやや筋肥大します。15回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1
60秒以上数分・数時間の持続的・持久的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより筋肥大せずに筋密度が上がります。20回以上の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
つまり、筋肥大バルクアップ目的なら①、細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップ目的なら②、減量引き締めダイエット目的なら③、の負荷回数設定で筋トレを行っていきます。ただし、腹筋郡・前腕筋郡・下腿三頭筋など日常での使用頻度が高い部位は、基本的に20回以上高反復回数で鍛えます。
なお、腹筋・ふくらはぎ・前腕の筋肉は、比率として遅筋繊維の割合が高いので、基本的に20回以上の高反復回数で鍛えてください。
■組み合わせたい種目
●ダンベルトライセプスプレス
ダンベルテイトプレスは上腕三頭筋の仕上げを行うための単関節種目ですので、事前にダンベルトライセプスプレスなどの複合関節種目で、上腕三頭筋に高負荷を加えておいてから行うとさらに効果的です。
ダンベルトライセプスプレスは、通常のダンベルプレスと逆手にダンベルプレスを持つことで上腕三頭筋に負荷が集中する種目で、そのポイントは肩甲骨を寄せて、背筋で上体を固定し動作を行うことです。また、肘をあまり広げると大胸筋に刺激が逃げてしまいますので気をつけてください。
●ダンベルフレンチプレス
ダンベルテイトプレスの前に行いたい上腕三頭筋の単関節種目が、ダンベルフレンチプレスで、肩甲骨に接合している上腕三頭筋長頭を完全伸展させられるフォーム(肩より上に肘がある状態)で行うのがメリットになる種目です。
ダンベルテイトプレスは、どちらかと言えば上腕三頭筋短頭に負荷のかかる種目ですので、ダンベルフレンチプレスで長頭を同時に鍛えると、上腕三頭筋の総合的な強化にもなります。
こちらが、ダンベルトライセプスエクステンション(ダンベルフレンチプレス)の模範的な動画です。肘を頭の横でしっかりと固定し、そこからダンベルを頭上に上げていきます。
肘が完全に伸びるポジションまでダンベルを上げると、負荷が上腕骨に乗ってしまい筋肉への荷重が抜けてしまいますので、肘が完全に伸びきる少し手前で折り返して元の場所までダンベルを下ろします。
■ダンベルトレーニングにおすすめの器具類
●おすすめのダンベル
筆者の運営するジムでは、左から順にアジャスタブルダンベル・アーミーダンベル・スピンロック式ダンベルといったさまざまなタイプのダンベルを使用しています。
また、スピンロック式ダンベルもプラコートタイプ・ラバータイプ・アイアンタイプなどを使用しています。
ダンベルにはそれぞれの種類で長所と短所がありますが、男性ならラバーダンベル・女性ならアーミーダンベルが、ご家族や男女兼用で使用するのであればアジャスタブルダンベルがおすすめです。
▼おすすめのダンベル
【ダンベルの種類と重さの決め方】男女それぞれにおすすめのタイプと筋肉部位別の鍛え方
▼コラム記事
【おすすめダンベルセットと種類】何キロを買えばいい?男性なら60kg女性なら20kg
●おすすめのベンチ類
ダンベルトレーニングの幅を広げ、筋トレ効率を高めてくれるのがベンチ類です。予算に応じて最低でもフラットベンチ、できればインクラインベンチを入手することをおすすめします。
なお、トレーニングベンチ各種類別のメリット・デメリットやおすすめのタイプについては下記の記事をご参照ください。
▼おすすめのトレーニングベンチ
【おすすめのトレーニングベンチ】折りたたみ・フラット・インクライン
■おすすめの筋トレグッズ
●手首保護にリストラップを
押す筋トレではどうしても手首に強い負担がかかってしまいますので、リストラップはぜひとも使用したいアイテムです。そして、入手するのであれば、普及品とは違い屈強なサポート力のあるリストラップを強くおすすめします。
▼リストラップとは?
【おすすめのリストラップ】初心者むけに使いやすい長さやリストストラップとの違いも解説
●握力補助にパワーグリップを
上半身の引く筋トレで初心者の方に多く見られるのが「先に握力がなくなって追い込めない」というケースです。筋トレは101%で行ってはじめて成果がでます。パワーグリップを使用して引くトレーニングの効率を上げることをおすすめします。
▼パワーグリップとは?解説記事
【おすすめのパワーグリップ】使い方の解説と男性・女性どちらにも快適なアイテム紹介
■おすすめの記事
【ダンベル筋トレメニュー】自宅で筋肥大する一週間の初心者むけプログラム
■ダンベルトレーニングの基礎知識
●ダンベルトレーニングの長所と短所
ダンベル筋トレは複数の筋肉を同時に高重量で鍛えるコンパウンド種目から、個別の筋肉をじっくり鍛えるアイソレーション種目まで種目数が豊富で、自宅筋トレでは中心となるトレーニング法です。また、バーベル筋トレよりも可動域が広くとれるというのも大きな長所です。
逆に、片手でウエイトを保持するため安定が悪く、バーベルやマシンでの筋トレに比べると高重量が扱いにくくなります。また、ダンベルやベンチ類など器具をそろえる必要もあります。
しかしながら、自宅で筋肥大バルクアップしようと思えば、やはりダンベルトレーニングの一択ではあります。
なお、他のダンベルトレーニングメニューについては、下記の種目別解説記事をご参照ください。